現代の日本にも雨乞いの儀式は生きている!
わが日本にも現代まで続く雨乞いの儀式があるのをご存じだろうか。
ひっそりと続く奥深い村の内輪だけの儀式はたしかにあるかもしれない。だが、この記事でご紹介するのは現代の雨乞いだ。
関東は埼玉県鶴ヶ島市で行われる「脚折雨乞(あしおりあまごい)」は、江戸時代から続く雨乞いの儀式だ。全長36メートル、総重量3トンにもなる「龍蛇(りゅうだ)」と呼ばれる依り代を担いで男たちが練り歩く。
龍蛇には「龍神」の魂が入れられる。この龍神を「雷電池(かんだちがいけ)」まで約2キロメートルにわたって神輿として担ぎ、雷電池で池に放し最後には解体する。その頭部に飾られていた金の宝珠を男たちが荒々しく奪い合うというのがこの祭事の流れである。
起源は江戸時代だが「雷電池に棲まう大蛇が別の場所に移った」ために毎年祈願の後にはあった降雨が得られず、一度儀式はたたれていた。しかし、明治7年に復活。昭和の半ばに一度途絶えるが、地域一丸となって昭和51年に再び復活した。
夏季オリンピックの開催年の夏に行われるので、実際に目にするチャンスは近い。
ジンバブエでは雨乞いはむしろポピュラーだ
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ジンバブエには多くの部族がいるが、そのほとんどに雨乞いのための様々な伝統と儀式が受け継がれている。いずれも長く続くもので貴重な伝統であるということから、ユネスコの無形文化遺産に指定されている雨乞いのための踊りの儀式もある。しかし、伝統を守る者がいる一方、忘れる者もいたようだ。
ジンバブエではこの数十年というもの地球温暖化のために気温が上がり干ばつが続いている。科学者は地球温暖化に適応できるような作物を育て、土壌の水分を多量に消費しないような農業をするべきだと主張している。しかし、他方、一般の人々の中には、この数十年で雨乞いの儀式が行われなかったために神が自分たちを罰しているのだととらえている者もある。
画像はマランゲという部族のもの。
2016年10月にジュエルツリー財団の資金援助のもとで雨乞いの儀式を行った。結果、雨が降ったというから面白い。科学はともかく、雨乞いの儀式によって人々の心は潤ったに違いない。
タイの雨乞いの儀式は、動物を使って行われる
ชาวบ้าน จ.สุพรรณบุรี แห่นางหมานางแมวปั้นหนุ่มสาวลามกขอฝนหนีแล้ง#ชาวบ้าน #แห่นางแมว #ขอฝนhttp://t.co/Zlm7nPIltc pic.twitter.com/qUj062vne0
— ทีมข่าว ไบรท์นิวส์ (@BrightNews20) 2015年6月30日
ネコの画像を見て、ネコ好きの方は「まさかネコを生けにえにするのでは」と危惧されたのではないだろうか。その心配はない。だが、ネコ好きならちょっと気になってしまう儀式が、タイの雨乞いの儀式では行われる。
微笑みの国と呼ばれるタイは農業大国でもある。特に米の生産は盛んだ。元々東南アジアから広まったといわれる米だが、現代のタイでもタイ米を生産する農業従事者は数多くいる。米の生育に欠かせないのは、日本の水田からも想像がつくように何といっても水だ。雨が降らない時期が続くと米の生産は大打撃を受ける。特に、日本のように山々が連なり狭い国土に川が流れる土地と違って、タイは高い山が少なく、降った雨は緩やかに流れる。雨が降ってもすぐに田畑に水が行き渡るわけではないのだ。
タイの農村部で行われる雨乞いの儀式では竹でできたカゴの中にネコを入れ、そのカゴを男たちが担いで村を練り歩く。村民の家を回ってそれぞれの住人に、ネコへ水をかけてもらうのだ。お隣さんからお隣さんへと続けて巡っていく。水を掛けられるときのネコの叫びが、雨の精霊に届いて雨を降らせるという。ネコには迷惑な話だろうが、農家にとって干ばつはネコの手も借りたいほど深刻な話なのである。
アメリカ大陸でも雨乞いの儀式が執り行われていた
Native American rain dance will give thanks at Oak Shores - #TopStories - #PasoRobles - http://t.co/3OWsAbY0XB pic.twitter.com/91acBAlBcw
— Paso Robles News (@PasoDailyNews) 2014年2月28日
人類はアフリカ大陸で生まれた後、長い年月をかけてヨーロッパ大陸を抜け、ベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸へ渡ったと言われている。その記憶が継承されているのかと思えてしまうのが、雨乞いの儀式で共通する「踊り」の要素だ。
先ほどアフリカ大陸のジンバブエの雨乞いの儀式を紹介したが、アメリカ大陸でも踊りによって雨を呼び寄せよる儀式が行われる。ネイティブアメリカンの儀式である。特に南西部の雨の少ない地域では雨乞いの儀式として「レインダンス」が行われることがあり、一時は絶たれる危機があったものの、現代まで語り継がれている。
画像はその一つ、アメリカのカリフォルニアの沿岸に1,000年以上住み続けてきたチュマシュという部族の、宗教儀式の指導者のアラン・”スピリット・ホーク(鷹の精霊)”・サラザール師だ。2014年に水位の減ったナシミエント湖に雨を呼ぶため、オーク・ショアという地域の不動産業者から招かれた。
雨に対して、「このタイミングでは降って欲しくなかった」とか「こんなに降らなくていいのに」と不平を言いがちだが、雨への感謝のためにレインダンスを捧げるというサラザール師の姿勢を見習うのも大切かもしれない。
雨の日というのは、憂鬱だったり体調不良を感じたりとマイナスなイメージが強い。しかし、この現代でも、雨を必要とし雨乞いが行われていることは忘れてはならない。
Writer レニピ編集部