雨と音楽の密な関係。マリンバ奏者、塚越慎子さんに聞いてみました

2017/07/07

「雨音」という音があるように、雨と音楽。この2つには、密接な関係があるよう。そこで今回は、歌心溢れる繊細かつ熱狂的な演奏で、現在最も注目を集めるマリンバ奏者。塚越慎子さんに、「雨とマリンバ」をテーマにお話を伺いました。

レニピ編集部:
はじめまして。マリンバ奏者の第一人者としてご活躍をされている塚越さんですが、「木琴」と一括りされてしまいがちな「マリンバ」について。まずは、特徴とその魅力を教えていただけますか。

塚越慎子(以下、塚越):
木琴もマリンバも、現在の形になったのはほぼ同じ時期といわれていますが、歴史には大きく違いがあり、また、音色にも違いがあります。


木琴はルネサンス時代からヨーロッパにあり、その頃は今のような横型ではなく、縦型のものでした。そして、移民によってアメリカに持ち込まれたといわれています。

一方、マリンバはアフリカから中南米を経て、アメリカにたどり着き、現在のマリンバの形へと発展しました。

音色は、木琴がコロコロとした、明るくはっきりした音色を持つのに対し、マリンバは木のぬくもりを感じる、温かく深い音色が特徴です。

それは、マリンバが発展する際に「響き」を重視したことによる違いです。

マリンバを演奏する際に用いるマレット(撥)も、種類は無限にあり、そのマレットによってもさまざまに表情を変えます。
ぜひ、皆様にも、このマリンバの音色の多彩さを知っていただきたいです。

 

レニピ編集部:
マレットの種類、無限ってすごいですね。音色がどう変化するか聴いてみたいです。演奏者にとって、雨の日の演奏は音程のキープや響きにいつも以上に慎重になるもの。そんな中で、雨の日ならではの「演奏の楽しみ方」があれば教えて下さい。

塚越:
音楽を聴くと、リラックスできたり、非日常を感じることができます。
雨の日は、どんよりとした空気だったり、気分も少し沈みがちになるかもしれませんが、音楽にはそんな気分を忘れさせてくれる力があると思います。

同じ曲でも、晴れの日に聴くのと、雨の日に聴くのでは、気持ちの変化や感じ方が違ってくると思います。
自分のお気に入りの曲を、天候によって聞き比べるのも、面白いかもしれません。

レニピ編集部:
晴れの日と雨の日で聴き比べるというのも音楽の一つの楽しみ方かもしれませんね。
雨の日にまつわる演奏エピソードがあれば、教えて下さい。

塚越:
雨に関連する曲や、雨をモチーフにした曲は、雨の降ってる音とともに演奏すると、情景が湧きやすいです。雨の日ならではのしっとりしたアンニュイな雰囲気は、カンカンに晴れた日とは違った雰囲気が演奏に表れます。

機械でなく、またCDから聴く音楽では味わえない生演奏こその醍醐味ですね。

レニピ編集部:
雨に関連する曲、気になっちゃいました。
雨音を表現した曲や、雨を舞台にした楽曲の中で、オススメの曲を教えて下さい。

塚越:
ショパンの24の前奏曲 作品28 第15番 変二長調《雨だれ》は、雨音に彩られた、ショパンの代表曲です。雨音のように曲を貫いて鳴り響く連打音が特徴的ですが、この作品が生まれた背景には、ショパンの恋人の存在があったといわれています。

恋人が外出中、突然の嵐が起き、不安に駆られたショパンが作曲した作品で、恋人への愛が込められた、美しくもどこか切なさも感じるメロディーが大好きです。

レニピ編集部:
情緒的な曲は雨にぴったりですね。
では、雨の日に弾きたくなる楽曲を教えて下さい。

塚越:
武満徹の「雨の樹」という作品があります。
マリンバ2台、ヴィブラフォン1台他、金属楽器を使う3人の打楽器奏者による作品で、照明にも細かな指定があります。

暗転からどこからともなく聴こえる金属の音から曲が始まり、それぞれの奏者に向けられた照明が点いたり消えたり、、、

雨の世界を感じながら、視覚的にも楽しめる作品で、聴く人それぞれに、様々な「雨模様」を連想させてくれます。

レニピ編集部:
本日はお時間いただきありがとうございました。
最後に、直近のコンサート情報やPR情報があれば教えてください。

塚越:
7/30(日)横浜赤レンガ倉庫にあるライブ・レストラン『Motion Blue yokohama』にて、NY在住の人気実力派のジャズ作曲家・挾間美帆氏とのライブが決定しました!

とてもエキサイティングなコラボレーションになると思いますので、ぜひお越しください!
なお、チケットは予約受付順に整理番号が発券されます。良いお席はお早めにお求めください。

 

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《塚越慎子 DUO feat. 挾間美帆》
2017.7.30.sun.
[1st stage] open_3:15pm / showtime_4:30pm
[2nd stage] open_6:15pm / showtime_7:30pm
※入替制の公演となります。

自由席 ¥4,800(税込)
BOX席 ¥19,200+シート・チャージ ¥4,000 (4名様までご利用可能)
※BOX席はインターネットからのみご予約いただけます

 

プロフィール
塚越 慎子(マリンバ)
Noriko Tsukagoshi, Marimba

歌心溢れる繊細かつ熱狂的な演奏で、現在最も注目を集めるマリンバ奏者。2009年には世界最大の打楽器フェスティヴァルであるPASIC(国際打楽器協会インターナショナルコンヴェンション)においてソリストとして出演。アメリカ・ノーステキサス州立大学で研鑽を積み、パリ国際マリンバコンクール第1位など数多くのコンクール歴を誇る。CDはこれまでに3枚をリリース。2012年、第22回出光音楽賞受賞。

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