近代的な天気予報のない時代、人々は様々な自然現象を観察し、経験的に雨の予測を行っていた。今日はそんな5つの例を紹介しよう。
「遠くの音が良く聞こえたら雨」
鐘の音がよく聞こえると雨、と昔から言われる。音は通常、放射線状に伝わるため、遠くに行けばいくほど、聞こえにくくなる。しかし、上空に温かい空気があると、その音が地上に跳ね返ってくるため、遠くの音がよく聞こえるのだ。
このように上空に温かい空気がある時というのは、前線があるため、雨が降りやすい状況になる。
「燕が低く飛んでいたら雨」
低気圧が近づくことにより空気中の湿度が高くなると、餌となる虫の翅が水分で重くなり高く飛べなくなるため、燕は飛びながらエサを捕まえて食べるという習性のある鳥なので、結果として燕も低く飛ぶ傾向がみられる。
そのためツバメがこぞって低空飛行をしているのを目撃すると、人々は雨が近いと考えるようになった。ただし、燕も天気予報や餌のためだけに飛行しているわけではないので、低く飛んだら絶対に雨が降るというわけではなく、あくまでその傾向があるということだ。
また燕は渡り鳥で、冬季は日本にいないので、この方法での予想は年間を通じてはできなかった。
「カエルが泣いたら雨」
カエルが日が沈んだ後に大合唱をしているのは、繁殖期にオスがメスにアピールをするためのものだが、他にも雨が降る直前になると鳴きだすことがある。雨の前には湿度が高くなるので、両生類で湿った皮膚でも呼吸をするカエルは、活動しやすい環境になり、がぜん元気になって、盛んに鳴くようになる。湿気に対しての変化という意味では、燕の例と似ている部分もある。
「猫が顔を洗うと雨」
湿気が嫌いな猫は、雨にも敏感で、湿気を嫌がり顔を洗うとされる。猫によっても反応はまちまちだが、湿度が高い日や低気圧が近づいている際は、かなり入念に前足で顔をこすると言われる。しかし、本当に湿気のために顔を洗っているのか、常日頃からの手入れのためなのかは、はっきり分かっていない。
「朝焼けは雨・夕焼けは晴れ」
天候は西の方から東へと向かっていく。そのため、晴天はすでに東に移っているため、日の出の時、東の空に朝焼けがおこると、まもなく西から雲が近づいていると考えられる。雨の多い日本だから成り立つ理論だ。ただし、連日晴れ続けることもよくあり、信ぴょう性が高いとは言い切れない。
科学が進歩した現代は、かなりの高確率で雨を予想することができるようになった。
しかし昔の人々にとって、雨が降るか否かは、生活の豊かさや貧しさに直結する死活問題だった。だからこそ、何とか知恵を絞って雨の予報を試みていたのだろう。
梅雨の時期。現在までの残る、先人たちが見出した雨を予測する5つの言い伝えを思い出し、天気を占ってはいかがだろうか。
Writer レニピ編集部