普段、何の気なしに使っている傘。
雨が降ったらコンビニでビニール傘を買い、晴れたらどこかに置き忘れる。
わたしたちは、そんな使い捨てのように、傘を扱ってはいないだろうか。
しかし、そんな傘に「愛着」を持ち、新たな魅力とともに、伝える人がいる。
その人の名は、眞壁和佳子さん。
幼い頃に見た雨の日の景色がキッカケで傘に興味を持ち、大学卒業後、ParisのHotel Ritz にて製菓の修業をし、帰国。
Parisでの生活からも傘に対する影響を受け、帰国後働きながら「傘屋」になる事を決めた彼女は、なぜそこまで「傘」に愛着を持っているのだろうか。その魅力に迫る。
レニピ:
眞壁さんは、2009年カサブランドRoulette(ルレット)発足し、国内外問わず活動されていらっしゃいますね。なぜ、雨の日の空をカラフルに「お気に入りのMy傘を持とう」という活動を始めたのでしょうか。
眞 壁:
小さな頃に見た景色がきっかけです。
その日は雨が降っていて、デパートの上層階の大きな窓から見下ろした時に見た広げられた傘の色が子供ながらに汚いと思ってしまいました。なぜなら、黒・紺・茶など暗い色ばかりだったんです。
でも、その中に数本鮮やかな色の傘があって。
もし、全ての傘がキレイな色だったら、まるで「金平糖」を散りばめたような景色になって、見ている自分も楽しい気持ちになるし、差している人達も楽しい気持ちになるのではないかと思ったんです。
少し大きくなってから同じように覗いてみても、ほとんど変わらない景色か広がっていて、その時に、
「これは私が自分で動き出さないと何も変わらないかもしれない・・」
と思い、少しずつ考えをまとめ始めました。
レニピ:
眞壁さんにとって、雨を楽しくするためのアイテムである傘。そんな傘に対するこだわりや思い入れはどこにありますか?
眞 壁:
雨の日をカラフルな傘でいっぱいにする為に、「いつか傘屋さんになろう」と小さな頃から決めていました。しかし、いろいろと考えていくうちに傘の生地を綺麗な色にするだけでは、周りに埋もれてしまって何の特徴も無い傘になってしまう。そう気づいたんです。
それからは、皆が持っていない特徴のある傘を作ることにシフトしました。
そうすれば、少しでも見てもらえるキッカケになり、私が思っているカラフルな空にしたいという活動も始められやすいのではないかと思って。
レニピ:
その思いから眞壁さんが手がけている傘ブランド「Roulette」が生まれたのですか?
眞 壁:
そうですね。
ちょうど、そんな考えを持ち始めた頃に、傘の骨に色が付いている傘が欲しいと思ったのがきっかけです。私自身がparis に行くことが何度かあり、そこで暮らしていく中でparis の人達が生活の中にカラーの物を沢山取り入れて楽しんでいる姿を見ました。その時に骨に色が付いた傘をいつか私が作ろうと決めました。
Rouletteのカサは基本同一単色でできています。カサはその人を引き立てる役割であり柄の入った生地で洋服や靴や鞄の邪魔にさせたくない。
だからこそ、Roulette のカサを使う人には色で遊び、楽しんで欲しいという思いがあります。
レニピ:
近年、ビニール傘の廃棄問題が注目を浴びるなど、「傘」に対する関心が徐々に高まってきたように思います。
眞壁さんにとって、ビニール傘ではなく「自分の傘」をもつことの魅力はどこにあるのでしょうか。
眞 壁:
ビニール傘と違うところ。それは、自分に合う傘・自分の欲しいと思う傘を、自分の時間を使って選び、悩む、楽しみがある所だと思います。
傘にもよりますが、百貨店で販売されている傘やRouletteのカサのようにこだわって作られている傘は安くはありません。
でも、すぐに劣化したり壊れてしまうであろうビニール傘とは違って、大切に使おうとするのではないかなと思います。
ビニール傘は周りが傘は周りが良く見えるので安全です。
ですが、手軽な価格なので傘のように直しながら長く使うことはあまり簡単に捨ててしまったり、雨が上がった後に「わざとトイレの中に忘れてみたり」する人も少なくないと感じます。
私は傘を作る立場なので皆さんと少し考えが違うかもしれませんが、傘にも「大切に使おう」と思う気持ちを持って選び、購入する気持ちが大切だと思っています。
その気持ちや考えがとても重要で、そうさせてくれるような「傘」に出会うことも、傘が持つ魅力的な部分ではないかなと考えています。